それでも年金は継続される

結論から言うと年金制度を深く学ぶことは時間の無駄です。
実質は既に破綻しているのに国の意地で継続している制度を学んだところで意味がありません。
とはいえ、加入しているのですから基本的な仕組みくらいは理解しておくことも必要でしょう。

年金制度は明治時代から一部の企業で導入されていました。
例えば、カネボウなどが企業年金の先駆けだと言われています。
また、軍人や公務員には「恩給」が支給されていました。

第二次世界大戦後の高度経済成長期に入り、低所得の高齢者向けに生活保証目的で始まったのが「国民年金」です。
ちなみに、この制度が始まった時点で年金を受給した人は、その原資を国のお金で賄ってもらいました。
彼らが支払った年金保険料は、次世代のための原資となったわけです。

現在の年金制度が確立されたのは1985年のことです。
実はこの年に、アメリカで行われた「プラザ合意」を受けて、為替相場は急激な円高に振れました。
この円高を機に発生したバブル経済の波に乗って、企業の成長が続いたことと、株式や不動産市場が高騰したことから、年金の運用利回りも異常なほどの好成績を残していました。

ところが、1990年代のバブル崩壊以降は景気が冷え込み、年金の運用の利回りも大きく低下したため、制度の維持が厳しくなってきたというのが年金制度の背景です。

そもそも、年金制度は、世代間の相互扶助です。
多くの人が誤解しがちですが、年金は個人が老後のために積み立てるものではありません。
いま働いている世代が、働けなくなった高齢者を支える仕組みです。

このことは、よく「お神輿(みこし)」に例えられます。
高齢者がお神輿に乗り、それを最低4人の若者が支える図式です。
ところが、少子化の影響でこの担ぎ手が減少して、今では一人の若者が一人の高齢者を養うレベルにまで至ってしまいました。

年金制度の将来を考える上で、とても重要なのが出生率の推移です。
「合計特殊出生率」は、1人の女性が生涯に産む子供の平均人数です。

合計特殊出生率の推移
1947年(第1次ベビーブーム): 4.54人
1975年(2人を切る): 1.91人
1985年(現在の年金制度導入): 1.76人
2022年(近年の数値): 1.26人

1975年に2人を切って以降、「合計特殊出生率」はどんどん下がり続けています。
現在の年金制度が確立された1985年においても、「お神輿」理論でいうと厳しい状態でした。
しかし、当時は運用利回りが良かったので何とか維持できていました。
ところが、その後のバブル崩壊(1989年)を受けて経済状況が悪化したことと、高齢者の急激な増加から、年金制度の維持はますます困難になっています。

5年に一度見直しがされている年金制度ですが、実情は完全に破綻しているのに廃止されなのはなぜでしょう?
受給者層が当然猛反発しますから行政は関わりたくありません。
無難に定年まで勤めて自身も年金を受給しようと考えます。

制度を改正できる議員たちも、年金制度廃止を訴えたりすると、既に年金保険料を納め始めている有権者の票が逃げて落選、つまり失職してしまいます。

そういった理由から、一応は国会では年金制度について審議されてはいるものの、抜本的な改革は進んでいません。
ちなみに、その審議のための国会運営費として、1日3億円が使われているとも言われています。

私たちが取るべき行動は2つしかありません。

1. 年金保険料をキチンと納付する。
既に働くことが出来なくなった高齢者の生活を担保するためにも年金保険料はキチンと納付しないといけません。
自分のためではなく、自分の親の世代のために納付するという考え方です。

2.年金に頼らないで生活できる資産をもつ
大人がいつまでも年金制度に固執していると、子供たちが将来苦しむだけです。
今の子供たちが年金を受給できる保証などどこにもありません。
普通の感覚を持った大人であれば、子どもたちを困らせるような生き方はしたくないはずです。

「年金に頼らない老後」を目指して、「年金制度の勉強をする時間があるなら、資産形成に時間を使う」
いま求められているのは、こういった考え方です。

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